今日は、社会福祉法人の労務について語ってみます。

僕が社会福祉法人で約12年法人本部で総務として勤務した経験、そして現在、社労士として社福さんに関わらせていただいている経験に基づきます。社会福祉法人(以下、社福)での労務の課題を考えてみましょう。

【現状を考える】
(1)制度事業である
(2)行政の管理下にある
(3)とにかく書類が多い
(4)福祉の世界でのみ通用する常識、認識がある
(5)待遇自体は概ねよい

僕が社福に入職したときは、まずその待遇に驚きました。それまでが、なかなか、しんどい仕事をしてましたので・・・(汗)。有給休暇はしっかり取得することが出来るし、賞与の率などもよいです。地方都市の鹿児島ですので、ごく一般の中小企業に比べたら待遇はいいと思います。

給与もすごくよいということはありませんが、安定した給与を頂けます。そういった安定した待遇は、制度事業であり行政の管理下にあることもあって「準公務員的」な扱いがあることは否めません。

その中で、感じたのは、とにかく書類が多い。何をするにしても「記録」「記録」なのです。「記録」は大事なことではあるのですが、本当にそこまで必要か?と思うような書類が多いのも社福の特徴です。

あと忖度して言う訳ではないのですが、理事長、施設長の給与はそれほど高くありません。正直「えっ、これだけ?」と思うことが多いです。理事長や施設長の「責任」「重み」を考えると、僕は、もっと頂いてもいいのではと思います。

何も知らない方は「福祉の職場でお金をもらうことはタブー」みたいな話をされます。これは間違いです。社会福祉法人の理事長、施設長の責任、重圧は相当なものです。僕は無理です。仕事への責任を考えたら、もっと報酬を頂いていいのではと、僕は思います。この辺りは、もう少し考えるべきではないかと思います。

【課題を「なぜなぜ」で展開します】
(1)全体的に まじめな 職員多い
(2)業界には、「福祉で働く人ほど福祉必要」の言葉ある
(3)「人」(利用者)に尽くす分、自分が疲弊することを表す
(4)「やりがい労働」も多い(利用者様のために・・・ の意識高い)
(5)逆に、社福の待遇の良さに勘違いを起こす職員も一部には、いる

社会福祉法人に勤める方に限らず、福祉の職場の方は、まじめな方が多いです。本当に利用者想いです。利用者は、高齢者であったり、障害者であったり、お子様であったりする訳ですが、表現が正しいかどうかともかく、守るべき「弱者」であることは言えます。

その方々に、労をいとわず仕事をする職員の方々は素晴らしいです。

反面、少し世間を知らないところもあります。もちろん皆が皆という訳ではありません。ほとんどの社福では有給休暇を概ねしっかり取得できますが、一般の中小企業ではなかなか難しいです。全般的に、社福は人手不足の状態ですので、採用・定着のため職員待遇は良いです。少しそれを「当たり前」と思ってしまい、ありがたみが分からない方もいらっしゃいます。

あと「やりがい労働」に疲弊する方も多いです。とにかく目の前の利用者様のために、尽くす傾向があります。それはそれでよいのですが、直接処遇だけではなく、処遇を図るための「会議」なども非常に多い。またその実施を行政から求められているケースもあります。

制度の中で行わなければならないこともある訳ですが、がんじがらめにすると、施設が疲弊しちゃうますよね。

【対策・まとめ】
(1)社福の場合、福利厚生・待遇において一般事業よりも優遇されている面はある
(2)社福のスケールメリットもある
(3)比較的内向きになりがちな傾向がある。職員教育・外部を必要
(4)福祉の世界の特性を知った上での労務管理必要

良し悪しはともかく、福祉、そして社福特有の空気はあります。これは社福の方は皆、口をそろえて言います。この空気感は説明ができないのです。また、その空気感を読まないと、うまく行かない物事、労務管理があるのです。

その社福特有の空気感をつかみながら、労務の課題に当たる必要があります。

【それでは結論です】
1 内部だけで、物事(労務)を行うと、身内の小競り合いのような案件少なくない
2 業界の感覚だけで物事を行うと、片付くものも片付かないときがある。
→ 開かれた施設、外部に接する法人であることが大事(第三者)

よく利用者処遇において「開かれた施設」という言葉はありますが、どうしても内向きになりがちな社福の労務も課題も外部と連携するのがいいとは思います。

別に無理に自分の商売を宣伝する訳ではありませんが、実際、外部専門家を活用している法人さんは、労務の課題への対処がうまくいっている傾向があります。

みなさまの法人様はいかがですか。

【本文の事前ノート】
0208社福の労務

それではまた!

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